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見えないことを楽しもう!造形創作&触る彫刻展その1

見えないことを楽しもう!造形創作&触る彫刻展その1

こんにちは。青山です。
6月21日から23日の3日間、柏市中央公民館 かしわ市民美術サロンで開催された「見えないことを楽しもう!造形創作&触る彫刻展」は大勢の来場者に楽しんでいただきました。
ご来場のみなさま、本当にありがとうございました。
スタッフとボランティアのみなさまもお疲れさまでした。

それでは今回のイベントの様子を何回かに分けてお伝えしようと思います。


「見えずに触るっていうことがこんなに面白いとは思わなかった」と開港一番朝日新聞の本だ記者は言った。
そして続けて「次に指に触るものは何だろうかと思うと、わくわくしてきますよ」と話ししてくれる。
私はうなずきながら「そうなんですよ、見えないことが楽しいんですよ」と言っていた。

初日、雨が降るという朝にも関わらず、私の見えない眼に光がさしていた。
ポコアポコの事務所を出たのは8時半、展示する彫刻その他を一杯に積んだVOXYは副所長のいとさんが運転し、
MOVEは職員の小早川さんが運転、そのMOVEに私も乗り込んだ。
乗り込んだという表現はまったくの嘘?になるかな。
全盲であり、それに毎日ころんでしまう足腰、時折車椅子を使う私の状況は、ようやく車に載せてもらった、というのが正解。

柏市役所の隣の中央公民館に到着したら、すでに花を生けてくれる関口志保美さんが来てくれていた。
続いて職員の池田さん、今回言いだしっぺの彫刻家中津川さんが自転車で駆けつけてきた。

8時40分頃から搬入を開始、ボランティアの中宗根さん、彫刻家の喜屋武さんとその手伝いの天野さん、そして中央公民館の1回で待っていて遅れたボランティアの菊池さんが加わり、会場作りが始まった。

本田さんは、その展示がまだ終了していない10時過ぎにやってきてくれた。
大いに感動してくれた本打算は、翌日日22日の朝日新聞の朝刊に、写真入のでかい記事を書いてくれた。
この新聞記事の話しが伝わると、スタッフも感動。

色を形で表現・視覚を使わない造形の創造・絵や写真を言葉で伝える

眼と指の比較観賞会とでも言える今回の彫刻展は、新しい観賞スタイルを提供することがその目的の一つだった。
その試みはアンケートに示されたように成功といえる。

見えないことを楽しもう!という企画が始まったのは今年の2月、NPO法人ゆめしずくから地域活動支援センターポコアポコを分離するために、
一般社団法人多夢多夢を立ち上げ、その設立総会における事業計画にこの見えないことを楽しもう!が提案された。

さらにその前進は、昨年24年、11月10日に行われた大阪吹田市のししょくの会のイベント、「色に触る、色を創る、色を伝える」に参加した時からだった。

先天盲の人たちは、色の認識が無いと言われていて、その人たちに色を伝えることは極めて困難とされている。

では盲学校などでどう伝えているのかというと、お日様の暖かさを赤、冷たい感覚を青などと伝えているという。
具体的には、ビロードなどの触るだけでやわらかく暖かい布を赤という色に置き換えたり、ビニール製の冷たい感覚の物を青というように置き換え認識させているという。
大阪でのイベントでは、それら6種類くらいの素材を自由に色に置き換え、形として造形した。
その造形創作に参加したことが大いに参考となった。

その後、1月に横浜美術館で行われた西村洋平日本女子大学助教授講師の造形ワークショップに、視覚障害者の榎林さんと藤原いとさんが参加した。
その経験が今回につながっている。

触る観賞

11時過ぎると、来場者が増えてきて、会場がとても狭く感じられる。
朝日の本だ記者を案内した小早川さんがまた他の人の誘導を始めた。
眼の見える人にはアイマスクを付けてもらうので安全のために誘導している。
その誘導のためにボランティアの中宗根さん、松本京子さん、福田さんが当たってくれ、また視覚障害者の藤井いさこさんも少し見えるので誘導してくれていた。

中央公民館は、市役所からすぐ目の前にあり、歩道を歩くとその3回が入り口となり、ホールの左側に会場の美術サロンがある。
入り口に立つと、目の前に3メートル×1.4メートルの絵が壁に掛かっている。沖縄の雲の絵であるその絵は、彫刻の出展者の一人である喜屋武さだおさんの描いたもので、両サイドにもう2点あり、その3点で構成する雲の流れる雄大な作品だ。

その絵の手前に受付があり、その受付の上と、入り口の反対側に関口さんが花を生けてくれていた。
その花たちは、とても良い香りを出してくれていて、見ることの美しさと共に、見えない人にもその存在を示していた。

来場者の皆さんは、その絵と受付の間を通り、アイマスクを受け取り 誘導されて、まず峯尾(みねお)さんの作品に出会う。
ポコアポコの木工作業所の講師である峯尾さんは、大きな皿などの器と、壁に展示した
木の樹皮から作った花瓶やシュールな鳥の造形を出展している。
最大の器は、その大きさが40センチくらいの楕円のもので、器の底には出っ張りが二つ浮き出ている。それは海の中をイメージしたもので、その出っ張りは岩である。
彼は作品について、「全て日常に使用してもらいたい」という。
ここ柏の隣の我孫子市には、戦前柳宗悦が手賀沼の辺に住んでいた。峯尾さんの思いはその柳宗悦にそうものである。

この日常性の作品群を抜けると、同じく木を題材とした中津川(なかつがわ)さんの作品が待っている。
6メートルに及ぶ「流」という榊の木の作品は、根から枝の末端までを磨いたものであり、多くのアイマスク着用者は、その細長い作品を触りながら歩いて、実寸よりもとても長く感じたという。
見えないことの空間認識は、その長さまで拡張してしまうのかもしれない。

先に進むと、木たちが音符となっていたり、石鹸が使われると小さくなっていくが指の先ほどまで使われて薄く小さくなった姿を6段階で表現してくれたもの、抽象化された助成の美しい肉体がドアノブとなって壁に飾られていたりする。
このドアノブは、特に人気があり、見えないことでのイメージの拡張は、シュールな世界を現実化できるのかもしれない。

そして椅子と枕、これが一番人気があった。
椅子といっても座布団がクッションとして体に合う形でへこんだようにけずられていて、座った時の一体感は、その硬さを感じさせない。
枕も頭が安定し、心地いいという人が多かった。
この枕のために、治療用折り畳みベッドを持ち込み、そこに枕を置いて体験してもらった。

そのベッドの反対側には、喜屋武(きやたけ)さんの彫刻郡が置かれている。
それは、金属の丸が重なり合い複雑な形を形成し、独特の世界を作っている。
その彫刻を触っていると、その複雑さが面白く、その複雑さを追いかけてしまう。

「巳バリエーション」という題を持つ一連の絡まりあう彫刻は、太さ5センチくらいのアルミダイキャストの棒が、曲がりくねって数本置いてあり、さまざまな形に変化させることができる。
触る彫刻としては、その形の認識が一番判りにくいかもしれない。しかし、その判りにくさが面白い。

かなりの時間を掛けての「触る観賞」は、ここで終了する。
ここからはアイマスクをはずして「みる観賞」に入るが、皆さん見ることと触ることの落差に驚いていた。

ポコアポコの木工作品

最後に、ポコアポコの木工作業での作品が置かれている所を見てもらう。
手のひらサイズの「にぎたろう」となずけられて居る手のつぼ押しようの作品、木の枝にねじを入れただけの素朴なバードコール、シュールな鳥のペンダントトップ、そして直径10センチ、長さが25センチ程度の桜の枝を割り、中をくり貫き、それを磨いた作品は、小物入れ。
この小物入れは、自然の枝のようでもあり、置いておくと素敵なオブジェである。

これら作品をほしいという日ともけっこういて、この場所では売ることができないので断るが、残念がっていた。(続く)

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